2016-12-15

楽しくない

買い物しても楽しくない。疲れと惨めさに押し潰されそうでただただ疲れてしまう。楽しくない。全然楽しくない。欲しいものは手に入らない。
お金を払ってクジを引く。これは楽しい。ハズレても楽しい。手に入らない事が前提だから哀しくならない。当たればラッキー、ハズレは当たり前。これくらい贅沢してもいいでしょ?
我慢ならたくさんしている。だから、爆発してしまう。どうでもいいような事で、ボカン!
だから、これくらい贅沢してもいいでしょ?
とんでもない爆破をしてしまわないように。

2016-11-25

握る

手のひらにごま油とちょっぴりお塩。多すぎたらベタベタします。多すぎたら塩っぱくなります。丁度いい塩梅で握りましょう。
三角に、三角に。
力を入れすぎず、ふんわりと。でも、ぽろぽろ溢れないようにしっかりと。丁度いい塩梅で握りましょう。
三角に、三角に。
塩むすびもいいけれど、ごま油もなかなか美味しいのです。沸騰寸前で止めた熱々のお味噌汁と一緒に、いただきます。

2016-11-24

衝動

作りたいと云う衝動は遺したいと云う感情から来ているのかもしれない。
私はいつか死ぬが、作ったものはずっと残る。知らない誰かに保守されてずっとずっと先まで動き続ける。或いは、情報の海を漂い続ける。でも、編み物は違う。遺したいと云う感情はそこには無い。編みたいから編む。ただそれだけ。
綺麗に編んだアクリルたわしはヨレヨレになると捨てられる。膝掛けは箪笥の肥やしとなり、やがて解かれてマフラーになる。編み物は消費作業だ。残らない。遺さない。だから何も考えない。空っぽの頭で取り組めるのだろう。

2016-11-09

断片

眠たくなった時に、すんなりと眠ることができたならそれは成功。 何かに追われて眠たくなった時に眠れない事は結構多い。

2016-11-05

万年筆で絵を

万年筆を貰ったの。だから上等な帳面を買ってきて何をかこうか一週間考えたのね。万年筆にインクを入れて書こうか描こうか悩んでいる瞬間が一等楽しいって、私、思うの。真白な紙に染み込むインクの色がとっても素敵で私、うっとりしちゃってね。意味もなく何本も線を引いたのよ。不思議ね。その線が知らぬ間に何か意味ありげな形になって一枚の絵が出来上がったのよ。
私、絵心がないと思っていたのよ。字もとんでもない悪筆で恥ずかしくて恥ずかしくて……でもね、万年筆って素敵よね。こんな私でも絵がかけたのよ。インクが切れるまで夢中になって絵を描いたら私、とっても落ち着いた気分になったのよ。だから、この帳面は画帳にするわ。

2016-10-30

錯覚

こんな夜に起きているのは、私独りだけなんだと感じてしまう。実際は違うのだけれど、私独りだけが不幸なのだという錯覚に一度陥ってしまうとなかなか抜け出せない。
どんどん不幸度が上がっていって、何事も上手くいかない気がして、やるべき事が見えなくなって、雁字搦めになって、二進も三進も行かなくなって、行き詰まって、自暴自棄になって……
どうすれば抜け出せるのだろうか? いくら考えても答えは出ない。思考の迷宮に迷い込んで苦しくなるだけだ。そのうち呼吸も下手になっていく。このままではダメだってことはよく分かっている。分かっているから変えようと試行錯誤しているわけだけれど、やっぱり上手く行かなくて錯覚は深まる。
いっそのこと、全てを捨てて一からやり直せたら良いのに。どこかにリセットボタンはないか? 体を探る。ありもしないものを探して、どうするつもりなのだろう。私は……

2016-10-27

モノ

大幅なアップデートにより繰り返される再起動に嫌気がさして電源コードを抜いてやった。
もういい。こんなポンコツ、誰が使うか。今すぐ捨ててやる。
いやいや。うそうそ。ごめんごめん。お願いだから動いてよ。
相反する感情に募る苛立ち。おい。いつまでやるつもりだよ。お前、そんなボンクラだったのかい? なんで声をかけながら見守る。物も者も同じモノじゃないか。付喪神なんて昔から言うじゃないか。きっとこいつも神様なのさ。だから大事にしてやらないとな。

上島はそう言って、もう動かなくなった機械を撫でた。

更新

「更新中です更新中です更新中です更新中です更新中です更新中です更新中です……」
ジェーンが繰り返す。
「あ、更新するなら充電コード差しとかないと電池切れしちゃうよ」
僕がそう言うと
「はい。充電コードを差します」
とジェーンが言って充電を開始した。更新中なのに自分で充電を差すなんて出来るんだ。最近のアンドロイドは性能がいいなぁ。
それにひきかえ僕は更新が始まると全く動けなくなる。更新中に電池切れになろうものならリセットされてしまうのだから、最新式はやっぱり違うな。

ジャスミン茶に甘えて

ジャスミン茶を淹れる。紅茶や珈琲は自分で淹れても美味しくないけれど、ジャスミン茶はどれだけぞんざいに扱ってもそれなりに美味しいから良い。だから自分で淹れる。
電気ケトルでお湯を沸かす。カップとポットと小皿を用意。カップにジャスミン茶のパックを放り込む。パックだと計らなくても良いし、捨てるときも楽だ。電気ケトルのスイッチがパチリと切り替わる。お湯が沸いたのだ。ポットとカップにお湯を注ぐ。少し待ったらカップからポットにパックを移す。ふぅふぅ、と息を吹きかけて冷ましながら香りを楽しむうちにポットの方も良い塩梅に色づいていく。パックを小皿へ。これで良い。本当はもっとちゃんとした淹れ方があるのだろう。けれど、私はジャスミン茶ならこんな感じでも許してくれると信じている。ポットが空になったら、またポットにパックを入れてお湯を注げば良い。さっきより長く置いておけばまたジャスミン茶が飲める。ジャスミン茶なら無精も許してくれる。
きっと、本物を知らないからこんな事が出来るのだろう。珈琲は本当に美味しいお店を知っている。彼処の珈琲は本物。インスタントじゃ満足できない。本格的と本格は別物。まだ本物の紅茶は知らないけれど本格的な紅茶なら知っている。あの店と、あの店。あと、あそこも。自宅で茶葉を買って飲んでもなんだか違う味になる。だから、自宅では淹れない。
ジャスミン茶は優しい。私の無精を受け入れてくれる。多少の無茶なら訊いてくれる。その香りで癒してくれる。心のササクレをそっと潤してくれる。だから、だから、だから、だから……

日常の空虚さについて

一つ頑張れた。頑張ったことにして日記に書き付ける。良いことや頑張ったことを手帳に書くと良いらしい。どう良いのかはちゃんと読んでないから知らないけれど。まぁ、とにかく良いとならばやってみようと今日の出来事を振り返ってみるのだけれど、何もない。何もないことに気づく。空虚な一日だった。その空虚さに愕然とする。そして、少しほっとする。充実した一日というモノが、なんとなく恐ろしく感じる。なにがしかの強迫観念に駆られて充実させたのではないか? 知覚できないなにがしかに操られていやしないか。そうでなければ私の日常が充実するはずもないのだ。だから、一日を振り返って空虚さを感じると安心する。私は操られていない。

2016-10-16

あぁあ。

空は晴れても気分は晴れない。そんな日はいっそ雨になれば良い。そう思う。けれど、そういう時に限って降水確率ゼロパーセントのカンカン照り。「え? 季節間違えてない? 今、秋だけど? 小春日和どころじゃないけど?」みたいな。
ベッドの上で端末をいじって時間を遡ると、楽しそうな言葉が並んでいて余計に気分が塞ぐ。何もしないでじっとしているべきなんだろうね。けれど、手持ち無沙汰で落ち着かないの。だから、エディターを起動する。そして、毒にも薬にもならないような言葉をこうして書き連ねているの。
あぁあ。つまんないの。あぁあ。やなことばっか。あぁあ。面白いことないかな。あぁあ。ゲームのスタミナ回復待ち。あぁあ。あぁあ。あぁあ。

2016-10-15

もう少し

日菜子が最近一緒に昼食を食べてくれない。理由は大体察しがつくのだけれど、日菜子の口から聞きたい。それまで待ちたい。私からぐいぐい尋ねてみるのもいいけれど、きっと日菜子は意固地になって余計に口を固くするだろう。だから静観しているのだけれど、学食の私の死角になる位置で彼とイチャイチャするのは……なんというか……死角になっていると本人たちは思っているのだろうけれど、がっつり見えている。それはもう、がっつり見えている。隠れてない。隠しているんなら別いいいよ。彼氏いない私に対する最大限の配慮だって分かってるし、私、気づかないふりするよ。でもさ、もう少し……なんというか、もう少し何かなかったのだろうか……親友の恋が成就した。喜ばしいことではないか。素晴らしい。私は手放しで支持するよ。すごく祝福するよ。もしかして、隠してるのって……いや、やめよう。今日の日替わり定食は私の好物である唐揚げ。唐揚げに集中しよう。私に彼氏ができたことを全力で隠しているにもかかわらず、全然隠せていない親友とその彼氏の浮かれた姿は見えない。見ていない。そんなものは存在しない。そう。私の親友は今、自習室で課題と向き合っている。日菜子がそう言っていたんだ。親友の言葉を信じよう。そう。私は親友を信じる……信じるぞ……信じ……あー、無理! 嘘下手かよ!

2016-10-13

秋黴雨

小ぶりだが溶けにくく爽やかな味が長く続く。一粒が小さいさく薄味なので五つほど一緒に舐めるとちょうど良い味。眠気覚ましにおすすめ。

秋時雨

ほろ苦い味の飴玉。大きさはまちまちで、苦さも一定しない。舐めているうちに苦味が増したかと思えばほの甘く感じるなど、舌の上で変幻自在に味を変える。舐め終わると少し冬が近づくという。

厭なモノ洗い流して好きなモノ残して行って欲しかったのに #秋雨のカノン

雨上がりの澄んだ空気は好きだけれど、地面を染めるオレンジを見ると哀しくなる。せっかくの金木犀がこれじゃ台無し。厭なモノだけを選んで洗い流してくれたらいいのに。例えば、今私の心の奥底から滲み出ている毒のような感情とか、どうにもならない倦怠感と睡魔、解決策の見出せない諸問題……
ポットにたっぷりジャスミン茶を淹れて一休みしよう。咎められる事を恐れていては後退する一方でちっとも前進しない。
私は私でなければいけないけれど、私でなければならない理由はどこにも無くて、多少の怠惰ならば誰かが勝手に埋めてくれる。私の存在なんて所詮その程度と言えば辛くなるが、いつでも引き継げるように効率の良い手順書を私は前以て用意していたのだと思えばくだらない矜持も保つことができる。物は考えようだ。良い方に考えよう。良い方に。それが一番難しいのだけれど……あぁ、秋雨が厭なモノだけを綺麗に洗い流して行ってくれれば良いのに! そして後に残るのは、前向きで意欲的な私!

2016-10-06

ずっとこのままだよ。良いの?
なにも変わらないままだよ。
なにかはじめてみなよ。
買っただけでほったらかしにして……。

ずっとこのままで良い何て思ってない。だから、出きることからやってるよ。
変えようとずっともがいているよ。
色々はじめてみたよ。
ほったらかしにしているんじゃなくて、上手くいかなくて違う方法を探しているの。そもそも、あなたがなにかはじめろと言ったんじゃない。

そんなんじゃダメじゃん。
ほったらかしにしてたから動かないんだよ。
あれが悪いに決まってる。だって、止めたら調子よかったじゃん。

上っ面だけ見て否定しないで。克服するために小さな目標からやってるの。
出きるものなら使っていたよ。それができないから苦しんでるの。
素人の浅知恵で決めつけないで。あれは調子が良かったんじゃなくて制御不能に陥っていただけ。

改善策を練って、実行して、結果を分析して、また策を練って……そこに横槍いれないで。

簡単に言うけれど、出きるものならやってるよ。

あなたは無自覚に私を言葉で縛り上げて追い詰めて悪化させる。善意は毒だ。私はあなたの善意に蝕まれている。

あれはよくないよ。
こんなことするから悪化するの。
それは控えた方がいい。

そう言って私からどれだけのものを取り上げた?
私は幾つかの物事を諦めて我慢している。

気分転換してみたら?

気分転換の方法を私から奪ったのはあなたでしょう?

私はあなたの毒に苛まれている。

2016-09-29

浴槽に蜂蜜檸檬

ごく稀に浴槽のお湯が蜂蜜檸檬になっていることがある。原理は不明。原因も不明。安全性には疑問あり。

2016-09-16

お湯を入れて

お湯を注ぐと色が変わるマグカップ。鮮やかな黄色が見たくて、電気ケトルのスイッチをいれた。沸騰するまでの数分でお茶を選ぶ。さて、何にしようか。インスタントコーヒーは昨日飲んだ。ココアはお湯では美味しくない。ほうじ茶って気分ではないし……
私はレモンと生姜の描かれた箱の封を切った。生姜の香りが鼻をくすぐる。箱にかいてある通りに淹れて、頂き物のクッキーと一緒におやつの時間。黒いマグカップは暖められて鮮やかな黄色に染まる。猫舌だから、まだ飲めない。色と香りをじっくり楽しんだら、いただきます。

2016-09-15

転がるように

一つ、上手くいかないことがあると、別の問題が生まれる。問題は問題を呼んで抱えきれない大きさになったときにはもう手遅れ。だから、早いうちに、今のうちに、解決してしまわないと……
上手くいかない日はなにもかも上手くいかない。もう、ありとあらゆる不幸が私を襲って来ているような錯覚に陥ってしまう。普段なら聞き流せることも悪口に聞こえてしまうし、普段なら気にしないような些細なことにこだわってしまうし、普段ならしないような失敗が連続する。
あ、今、私はダメなんだな。そう、客観視できれば良いのかもしれない。けれども、そんな余裕なんてどこにもないからイライラしてトゲトゲしてバカみたいにチョコレートを食べる。
切り替えなさいって?
そんなの! 無理!

期待は

お砂糖百、バター二百、薄力粉三百、ベーキングパウダー小匙一、期待大匙三を銀色のボールに入れて丁寧にこねましょう。期待とは、こねた分だけ大きく膨らむものです。耳朶くらいの柔らかさになりましたらラップに包んで 冷蔵庫で少し寝かせます。厚さ1センチに伸ばして、切って、フォークで穴を開けて、クッキングシートを敷いた天板の上に等間隔で並べましょう。膨らむとくっつきますので、余白は大きくとりましょう。
さて、これから期待を百七十度に予熱したオーブンに入れてじっくり焼き上げます。まずは百七十度。次は百五十度。それぞれ十五分。すぐにオーブンを開けてはいけません。十分経つまで我慢我慢。
さぁ、十分経ちました。火傷に気をつけて。オーブンを開けましょう。中では大きく膨らんだ期待が美味しそうにこんがり焼けてこちらを見ています。火傷に注意をしながらお皿へ並べたら二時間ほど常温で冷ましましょう。焼きたてホヤホヤもふんわり甘くて美味しいですが、冷めたらサクサクさらに美味しくなります。
時間をかければかけるほど、期待は大きく膨らんで、美味しく美味しくなっていくのです。

2016-09-12

これくらい

カーラーで髪を巻く。自分のために。
ヤスリで爪を磨く。自分のために。
いい靴を買う。自分のために。
スキンケアを怠らない。自分のために。
果物を買って、スライスして、煮沸消毒したボトルに入れて、ミネラルウォーターを注いで、それから、それから……
独り、レインポンチョを着てお湯の少ない湯船の中で考える。アレもソレもコレもドレも全て自分のため。誰かのためにしていることなんて、一つでもあっただろうか。
毎日働く。自分のために。
貯金をする。自分のために。
本を読む。自分のために。
電話をかける。自分のために。
手帳を見て、予約をして、手帳に書き込んで、かわいいシールを貼って、それから、それから……
いいじゃないか。自分のために生きても。誰かに迷惑をかけない範囲で、法を犯さないように好きに生きてもいいじゃないか。
これくらいは、許されるはず。
誰に? 誰に許されるの? 誰かの許しが必要なの?
私は常に許しを求めている。
これくらいはいいよね。頑張ったものね。ココまでなら誰も怒らない。
ナニに許しを求めているのだろうか?
正体不明のなにかに、私は今も見逃されている。

2016-09-04

眠れない夜はとても長いから、よくないことばかり考えてしまう。明るいことを考えようと努力はするけれど、なにぶん真っ暗闇だから考え事も暗くなる。
月明かりが見える窓が欲しかったな。僕の部屋の窓は味気ない磨り硝子。窓を開けても壁。月なんて見えやしない。

2016-08-24

永すぎる夜は群青

ベッドに横になってストレッチをする。いい匂いのハンドクリームで指先から順にマッサージする。精神を安定させるツボや睡眠を促すツボを念入りにマッサージ。
時計の針は律儀に時を刻む。私を刻めば良いのに。
あくびは群青に吸い込まれて私は眠れない。眠れない夜は永すぎる。「私は正しくない」という考えが頭の中で回りはじめる。そうしたらもうダメ。朝が来るまで眠れない。

2016-08-12

MDウォークマン

掃除をしていたら数枚のMDとウォークマンが出てきた。あの頃は、最高にクールでイケてる子はみんな持っていた。私も欲しかったけれど難聴になるとかなんとか言って買ってもらえなかった。説得に説得を重ね、お年玉で購入する許可を得たときは「これでやっと私も最先端の音楽を手に入れることができた!」と有頂天になったものだ。
なのに、最先端を手に入れて半年もたたないうちにMDは古いメディアとなった。みんなはリンゴのマークが描かれたMDウォークマンよりもたくさんの音楽が聴けて、しかも今聞いている音楽のタイトルなどがすぐにわかる携帯端末に夢中になった。MDは録音しただけではタイトルすら記録されない。いちいち歌詞カードとにらめっこをしてタイトルを入力しなければならなかった。横着者の私はこの作業を怠ったが、MDに録音できる曲の数なんてたかが知れているから繰り返し聞くうちに自然と覚えるてしまって問題なかった。
そうだ。この頃は音楽がとても濃厚だった。それは多分、限界があったからだ。録音できる曲数に限界があったから録音する曲を慎重に選んでお気に入りの曲を何度も何度も繰り返し再生していた。カセットテープなら擦り切れていただろう。それくらい繰り返し聴いた。でも、今は?
PCでガバッと買ってきたCDを……いや、もうCDを買うことすらしないか……スマホでサクッとダウンロードして、数回聞いたらすでに沢山保存されている音楽の群れの仲間入りだ。時折シャッフル再生で流れ「これなんだっけ?」と首をかしげて画面を確認する。
私はMDウォークマンの充電器を見つけると充電を始めた。まだ動くだろうか? 動くだろう。「マイベスト」とラベルの貼られたMDにはあの曲が録音されているはずだ。あの曲と、あとあれも。あれはこっちに録音したんだったっけ?
充電が完了するまで、後、沢山。

気休めにホットミルクを

眠れない夜に、原因を探す。カフェインは摂取していない。スマホの電源は二時間前に落とした。ストレッチもした。それでも、僕はまだ眠れない。
「夜の街に取り残されている」
なんて詩的な言葉で誤魔化してみても、眠れるわけはない。
別に、良いんだ。眠れなくても。明日、早起きしなければならないなんてこともないし、なんなら昼まで寝てても良いくらいなのだから……
それにしても、眠れない夜というのはどうしてこうも長いのだろうか。仕事で徹夜した夜はあっという間で「頼むから太陽はもう少し昇るのを待ってくれ!」と願うくらいなのに、ただただ眠れない夜というものは途轍もなく長くて終わりが見えない。もう一生夜が明けないのではないか? と勘違いしてしまうくらい長い。あぁ、はやく、はやく、朝日が見たい。朝日が見えれば、そうすれば安心して眠ることができるのに! なのに、窓の外は真っ暗。真夜中の空気は暑くて湿っぽくて、気持ちが悪いんだ。窓を閉め切っていても、クーラーを点けていても、滲んでくるんだ。逃れられないんだ。
僕はベッドを抜け出し、暗いリビングで独り、気休めにホットミルクを飲んで小さく丸くなっている。

2016-06-08

夏時雨

ひんやりとしていてほんのり柔らかな甘さ。
じわじわとゆっくり溶けていく。寂しい後味が舌に残るので、独りで落ち込んでいる時はあまりお勧めできない。
孤独を感じたい時にお勧めの一粒。

神立

口の中に入れるとパチパチと弾ける刺激的な飴玉。
味は気まぐれ。どんな味かは舐めてからのお楽しみに。ただし、どれもとってもトゲトゲしい味がする。眠気覚ましにちょうど良いかも。

五月雨

小粒で溶けにくい。
小さいので気軽にぽいぽい口に放り込むと良い。一粒一粒味が違うので一つの味を長く楽しむのもよし、溶ける前に次々に口に入れて自分好みの味にブレンドするもよし、の楽しい飴玉である。

2016-06-05

梅時雨

大ぶりで赤みがかった青色をしている。形は完全な球ではなく、少し凹みが見られる。
梅干しと蜂蜜を混ぜたような甘酸っぱい香りが仄かにする。味は微かな塩気の後にふわりと甘さが残る。熱中症に良さそう。
大きく溶けにくい飴なので長く味を楽しむ事ができるが、舐めれば舐めるほど身体が冷えるので舐めすぎに注意。