2018-05-28

記憶の断片

記憶の断片がちらりと脳をくすぐる時がある。
空気の温度、湿り気、明るさ、音、匂い、本、言葉、音楽……色々なものが絡み合って引きずり出した記憶の断片が、懐かしいような切ないような悲しいような苦しいような複雑で訳が変わらない気持ちにさせる。それらの記憶は断片的で意味も脈絡もなくて前後の繋がりもないからはっきりとは思い出せなくて、もどかしい。目を閉じて当時のことを思い出そうとしても、そもそも大した記憶ではなく、どうでもいいような日常なのでぼんやりとしていて掴めない。掴めないまま私は記憶を手放し、今に帰る。碌でもない今に。