2016-09-29

浴槽に蜂蜜檸檬

ごく稀に浴槽のお湯が蜂蜜檸檬になっていることがある。原理は不明。原因も不明。安全性には疑問あり。

2016-09-16

お湯を入れて

お湯を注ぐと色が変わるマグカップ。鮮やかな黄色が見たくて、電気ケトルのスイッチをいれた。沸騰するまでの数分でお茶を選ぶ。さて、何にしようか。インスタントコーヒーは昨日飲んだ。ココアはお湯では美味しくない。ほうじ茶って気分ではないし……
私はレモンと生姜の描かれた箱の封を切った。生姜の香りが鼻をくすぐる。箱にかいてある通りに淹れて、頂き物のクッキーと一緒におやつの時間。黒いマグカップは暖められて鮮やかな黄色に染まる。猫舌だから、まだ飲めない。色と香りをじっくり楽しんだら、いただきます。

2016-09-15

転がるように

一つ、上手くいかないことがあると、別の問題が生まれる。問題は問題を呼んで抱えきれない大きさになったときにはもう手遅れ。だから、早いうちに、今のうちに、解決してしまわないと……
上手くいかない日はなにもかも上手くいかない。もう、ありとあらゆる不幸が私を襲って来ているような錯覚に陥ってしまう。普段なら聞き流せることも悪口に聞こえてしまうし、普段なら気にしないような些細なことにこだわってしまうし、普段ならしないような失敗が連続する。
あ、今、私はダメなんだな。そう、客観視できれば良いのかもしれない。けれども、そんな余裕なんてどこにもないからイライラしてトゲトゲしてバカみたいにチョコレートを食べる。
切り替えなさいって?
そんなの! 無理!

期待は

お砂糖百、バター二百、薄力粉三百、ベーキングパウダー小匙一、期待大匙三を銀色のボールに入れて丁寧にこねましょう。期待とは、こねた分だけ大きく膨らむものです。耳朶くらいの柔らかさになりましたらラップに包んで 冷蔵庫で少し寝かせます。厚さ1センチに伸ばして、切って、フォークで穴を開けて、クッキングシートを敷いた天板の上に等間隔で並べましょう。膨らむとくっつきますので、余白は大きくとりましょう。
さて、これから期待を百七十度に予熱したオーブンに入れてじっくり焼き上げます。まずは百七十度。次は百五十度。それぞれ十五分。すぐにオーブンを開けてはいけません。十分経つまで我慢我慢。
さぁ、十分経ちました。火傷に気をつけて。オーブンを開けましょう。中では大きく膨らんだ期待が美味しそうにこんがり焼けてこちらを見ています。火傷に注意をしながらお皿へ並べたら二時間ほど常温で冷ましましょう。焼きたてホヤホヤもふんわり甘くて美味しいですが、冷めたらサクサクさらに美味しくなります。
時間をかければかけるほど、期待は大きく膨らんで、美味しく美味しくなっていくのです。

2016-09-12

これくらい

カーラーで髪を巻く。自分のために。
ヤスリで爪を磨く。自分のために。
いい靴を買う。自分のために。
スキンケアを怠らない。自分のために。
果物を買って、スライスして、煮沸消毒したボトルに入れて、ミネラルウォーターを注いで、それから、それから……
独り、レインポンチョを着てお湯の少ない湯船の中で考える。アレもソレもコレもドレも全て自分のため。誰かのためにしていることなんて、一つでもあっただろうか。
毎日働く。自分のために。
貯金をする。自分のために。
本を読む。自分のために。
電話をかける。自分のために。
手帳を見て、予約をして、手帳に書き込んで、かわいいシールを貼って、それから、それから……
いいじゃないか。自分のために生きても。誰かに迷惑をかけない範囲で、法を犯さないように好きに生きてもいいじゃないか。
これくらいは、許されるはず。
誰に? 誰に許されるの? 誰かの許しが必要なの?
私は常に許しを求めている。
これくらいはいいよね。頑張ったものね。ココまでなら誰も怒らない。
ナニに許しを求めているのだろうか?
正体不明のなにかに、私は今も見逃されている。

2016-09-04

眠れない夜はとても長いから、よくないことばかり考えてしまう。明るいことを考えようと努力はするけれど、なにぶん真っ暗闇だから考え事も暗くなる。
月明かりが見える窓が欲しかったな。僕の部屋の窓は味気ない磨り硝子。窓を開けても壁。月なんて見えやしない。