2019-05-24

彼女はエナジーバンパイア

エナジーバンパイアだったのだ。彼女はエナジーバンパイアだったに違いない。
彼女と会うと疲れる。彼女から連絡が来ると気分が塞ぐ。心してかからなければ……と構えてしまう。友人と会うだけなのにどうしてこんなにもエネルギーを使わなければならないのだろう。
思えば否定されることが多かった。それも、自分の言葉ではなく他人の言葉を使って私のことを否定してくる。喧嘩になるわけないじゃないか。彼女に意見なんてなかったのだ。彼女は誰かの否定的な言葉を集めて並べて私を否定する。言い返しても無駄だ。別の人の言葉を使うだけだから。緩やかに否定され続けた私は病んでいく。
彼女はいつも自分を大きく見せていた。謙遜しながら出来ないことを出来るような素振りで巻き込んだ。出来ている振りだけは天下一品。そんなつもりは毛頭なかったのだろうが、結果的に私は利用された。そんな気分だ。無意識で無自覚な搾取。私は搾り取られた。
「あなたのせいではないけれど」と言う。でも彼女は失敗を誰かのせいにして愚痴る。本当はこうしたかったのにあの人が反対したから諦めた。嫌だったけれどあの人が勧めたから。あの人がこう言ったから。あの人が、あの人が、あの人が……私も、あの人だ。私の事も別の人に言っている。あの子がこうしたほうがいいって言ったからって。きっと、とんでもないことが私の責任にされている。
私のことも、変な子として誰かに話しているのだろう。私に私の知らない誰かの話を話した時のように、私の病も努力も苦しみも経歴さえもベラベラ喋っているのだろう。これまで彼女に話したこと全てが面白い話として脚色されて吹聴されているのだろう。小馬鹿にして話すのだ。なんて恐ろしい。私は彼女に色々なことを話してしまった。情報を与えすぎた。大きな失敗だ。
私が悪いのか? と何度も考えた。結果、友人ではなかったのだと感じた。少なくとも今は、私は彼女を友人だと認識していない。